ドクターインタビュー

2023年8月の移転について教えてください

10年前開業当初はビルの５階に診療所があったため、初めて来られた患者さんからは「５階まで上がって来るのに勇気がいった」と言う声がありました。元々紹介患者さんが多く、皆さんわざわざビルの５階を目指して来ていただいていたのですが、患者さんの高齢化に伴いバリアフリーの必要性や駐車場の利便性などを考え、思い切って現在の場所へと２年前に移転しました。

遠方からも患者さんがいらっしゃるそうですね？

はい、大阪府内はもちろん奈良県や兵庫県など、県外の方が多いのも当院の特徴です。遠方より新患さんが来られるというより、10年、20年前に治療を手掛けた方がご家族、ご友人とともにいまだに遠方よりメインテナンスに通っていただいているケースが多いですね。

さかき歯科の診療で大切にしていることは？

歯科治療は総合力が大事だと思います。歯は本来ものを噛んで咀嚼するための器官です。噛めるようにするための咬合治療は当然のこと、歯を支える骨を守るため歯周病治療、ちょっとでも自分の歯を残すため、または歯周環境を整えるための歯周外科治療、同じ歯を入れるなら審美的に自然にきれいに、それを10年、20年維持していくさかき歯科で大切にしているのは総合力です。また遠くから来られるご年配の患者さん、歯の治療が怖くて緊張される方などにちょっとでもくつろいで来ていただけるよう、診療所の雰囲気やスタッフの対応も大切にしています。

最近の症例で印象に残っているものはありますか？

「部分義歯を支えている残りの自分の歯がぐらぐらで噛めない」という主訴で患者さんが来院されました。通常、歯を抜いて新しい総入れ歯を作製するまでの2~3週間は歯のない状態になってしまいます。私はその患者さんに、「今日お時間があるようでしたら」と伺って、予約の患者さんの合間にぐらぐらの歯を抜歯し、その場で型を取り模型を製作しました。そした、模型上で古い部分義歯を総義歯に改造し、口腔内で粘膜面を合わせた後、嚙み合わせを調整しました。お待ちいただきながら約３時間かかりましたが、その日のうちに義歯を入れて食事ができるようになって帰っていただきました。患者さんもまさか突然歯医者に行って、その日のうちに噛めるようになるなんて思いもしていなかったようで、目を丸くして大変喜んでおられました。

歯周病治療についてはいかがでしょうか？

歯周病治療も、当院の重要な診療分野の1つです。初期の段階であれば、歯石除去など基本的なクリーニングで改善が見込めますが、重度の歯周病になると外科的な治療が必要になることがあります。

歯周外科の治療内容は様々ですが、例えば歯肉を切開して不要な組織を取り除いたり、歯槽骨を整えたりすることで、歯周ポケットの深さを減らしていきます。外科的処置を行うことで、患者さんご自身でのセルフケアがしやすくなり、治療の効果も格段に上がるのです。

もちろん、歯周外科は体への負担も大きい治療です。ですので患者さんとよく相談しながら、必要な場合に適切なタイミングで行うことが肝心だと考えています。しっかりと説明して同意を得ること、治療後のケアを丁寧に行うこと。その積み重ねが、良好な予後に繋がると信じています。

歯科治療で大切にしている想いをお聞かせください

以前勤務していた診療所で先代から「喜ばれることに喜びを」という教えを受けました。ただ、これは決して簡単なことではありません。なぜなら、患者さんが何を求めているのか、どうすれば喜んでいただけるのかを常に考えなければいけないからです。

ある患者さんにとって「治療期間が短いこと」が喜びに繋がるかもしれません。また別の患者さんは、「痛みの少ない治療」や「丁寧な説明」を望んでいるかもしれない。なかには「歯を削るのは最小限にしてほしい」「見た目に配慮してほしい」など、様々な希望を持っている方もいるでしょう。

大切なのは、患者さんの声に耳を傾け、それぞれのニーズに合わせたオーダーメイドの治療を行うこと。自分の考えを押し付けるのではなく、患者さんの想いに寄り添うこと。例えるならば、患者さんの気持ちに合わせて、毎回調理法を変える料理人のようなものです。得意の料理を作るだけでは不十分で、相手が何を望んでいるのかを汲み取る感性が問われるのです。

最後に、ホームページをご覧の方へメッセージをお願いします

歯のことでお悩みの方、特に「何らかの理由で治療を諦めている方」はぜひご相談ください。来ていただいている患者さんに「さかき歯科がなくなったら困る」と思っていただける歯科医院であり続けること。それが私の生涯の目標であり、歯科医冥利に尽きる喜びだと感じています。